【自作詩】フラワーベース

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二十歳の頃は

肉体の中に心がちゃんと収まっていた

いまでは、心の三歩後ろを

肉体がちょこちょこついてくる

この心は透明なガラスでできた四角い器

フラワーベースだけれど

そこには水も花卉も入っていない

空っぽだった

人生の危機とは、

心が肉体を持て余すようになること

その刹那、そしてその期間のこと

肉体を支配することができなくて、

できると思っている日常の日々はただ

幻想を抱いているだけだ

自分のすべてが人工に囲まれながら唯一

我が身が自然そのものであるという事実を

忘れているだけだ

そんなときだけ現れる

五歳児の女の子

半透明なからだで

いびつに長く伸びた手で

私の背中をさする

何度も

そして、ふと消える

闇の部屋に

そう、畳敷きの部屋の片隅に

光の玉の輪っかがある

向こうからの出口は入口

過去には、登坂車線から追い越されて

未来には、追越車線の現在から引きはがされるように引き戻される

私の時計はいつも時刻があやしい

使われている電池もムーブメントも

すべて埃が水へと変化してその隙間に入り込んでしまう

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