アフターコロナのためのエチュード#01 ねじれる社会と生存欲求

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 「不要不急」
 「外出自粛」はどこへやら
 死語と消えたか蓋しただけか

* * *

よく通っていた近所のクリニックに経営難の噂が出ている。

普段から自分の通院はもちろん親の通院の付き添いで何カ所か病院に通っているのだが、たまに診てもらっている病院だった。

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県境に関所はない時代に

関所

コロナ禍になってから数回通院したことはあったが、そのクリニックは早くから新型コロナウイルスに対する対応はとても敏捷で、入り口で必ず次の3つのポイントの質問をしてい
た。

・発熱や咳、下痢症状など風邪の症状はないか
・ここ2週間、県外へ移動はなかったか
・県外から戻ってきた家族や友人、また観光客との接触はなかったか

町のクリニックでは新型コロナウイルスの感染対策が難しい部分が小さくない。

感染症対策でまず大切な換気がうまくできない構造になっている場合もあったり、ロビーや診察室、処置室の構造上、医師や看護師と患者が数人いるだけで密な状況になりやすいことなど、患者に対しても働くスタッフに対しても思うようなコロナ対策がとれないケースも少なくないからだ。

ただ、新型コロナウイルスの感染状況は刻々と変化している。

春から梅雨の一斉休校や緊急事態宣言といった特殊な社会情勢や感染状況はいったんクリアして、今は「新しい生活様式」と呼ばれるものをベースに、コロナと経済との両立を図るのが当たり前の流れになっている。

しかし、私たちはコロナ禍以後のこの半年で培った「常識」をどこまでアップデートしているのだろうか。

マスクに科学的なエビデンスは乏しいといった見方も登場していたり、県外への移動は自粛は存続しながら、Go To トラベルはその対象を拡大したりしている。

県外への移動は自粛、県外からの移動は歓迎矛盾

そもそも自治体の住民には春からの県外移動を明確に自粛要請を維持するのでもなく、移動を緩和しているというスタンスでもなく、しかし我が自治体の経済のために自治体内の移動はゆるむに任せつつ、県外からの観光客は積極的に受け入れる方向へと力を注いでいる。

都道府県のそれぞれの県単位の利害がこれほど矛盾して交錯してしまった状況は、あまり経験がない。

自治体のメッセージとして、首都圏への移動自粛という確たる暗喩があるものの、2020年10月から東京もGo To トラベルの対象に追加されて、国と、そして都道府県のなかでも都市部と地方との思惑のねじれが、一国民として非常に気持ちが悪い。

なんとなく社会の流れが変わって輪郭が消えていく

輪郭

自粛警察やマスク警察はどこにいったのだろうか。

なぜGo To トラベルをはじめ数々の感染リスクを抱えた流れが強まるなかで、地方の空港や駅、港では「県外客は来るな!」「感染予防のため県民だけの移動にせよ」といったデモなり運動なり、まさしく自粛警察が機能していないのか、不思議である。

私たちは国政や地方自治制度を含めた社会構造と、それぞれの集団が持つ生々しい防衛本能と利潤追求が複雑に絡まり合った間に迷い込んでしまっているのではないか。

面従腹背。

表面的に従属しているようで、究極的にここの利益のみを相互に追求しすぎることで、すべてがたちゆかなくなる世界がやってくるのではないか。

薄気味悪いねじれを維持したまま、表層的にはすべてがゆるやかに緩和していく秋が通り過ぎようとしている。

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